騾黒愛(Lark roa)

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2023-01-01から1年間の記事一覧

齢、十五

十五の頃、私はしんに清かった。聖典で語られる赤子のように、阿呆で或ったのです。己に纏わりつく厭な縄、千切られることの勿い鎖、そうして、其の身に科された不定期刑にさえも、鈍感でいたのでした。 つまらない黒い髪を、ただただ伸ばして、服からは見え…

縦書き文庫に書きました

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人は女ごきぶりの悲しみを知らず

「人は、女ごきぶりの悲しみなんて、ついぞ知ることがないまま生きるのですよ。」 やわらかに髪を乱す、明朝の清潔な風に、その声を聴く。 地面が歪むけがらしい暑さに、涼しく凛とした風が疲れることもなく寄り添う。 その人は、私の、ごきぶりの世界の中で…

ピーピング友

ある日の丑の刻のことである。 私が酒の酔いも少し醒めた心地で、退屈の煙によごされ乍ら、煙草屋の店先でぼうっ、として居ると、後ろから、 「兄さん、退屈しのぎのカフェインはいかが。いかが。」 と、声がする。振り返ると、疲れ切った様な、如何にものん…

草かばね

ほとほと、厭になる。 文字は、書いた瞬間から腐っていく。図書館の本が読まるる度に汚れていくように。 青魚の如く疾く劣化す。 少し格好を付けて言って了えば、文字とは「花」である。 誰にも名を知られず、勝手都合に人様のベランダへ種を飛ばし、芽を出…

至高の肴

至高の肴を見つけた。 方々の食物をつまみ乍ら吞んできたが、遂に一つの答えに辿り着いた。 能書きが長い性分もここらにして置いて、結論に入ろう。 「失敗」で或る。 具体例を挙げやう。 己の失敗、たとえば番組の途中で寝て了った、寝坊で約束を破った、等…

大塚探偵事務所 case.せうそこ

零 電話 石川県七尾市で、娘が居なくなった、という旨の電話が事務所に掛かってきた。 同じ子を持つものとして、また探偵として。必ずや見つけ出す、と決めた。 美濃の事務所から約三時間ほど車で北上した所に、伝え聞いた屋敷が或った。 時刻は夜の六時。 …

安楽死について真剣に考えた

安楽死。 末期の病気の患者にっ毒物が投与されたり、辛くていっそ、殺してくれ。 そんな人々におススメの制度。パスポートが有っても重病がなけりゃ...と嗤われる。 安楽死安楽死と云ふけれど。実際に「安楽死制度」が導入されると如何変わるのか、考へた。 …

導入しました!配膳ブロット!

ブロットは今日もはこぶ。 誰の口に合うか、自分の口にはガソリンが合うな、と思ふ。 家内への土産は是れにしやう、 社員連中のゴミで造ったガス、是れだ。 きたないけれど精一杯の、ガスをあげやう。

藝術は吐瀉物だ

藝術、物種と云うものは、吐瀉物であると思ふ。 口に入れて、嚥下する。消化されてゆくものは自らの身体から抜け落ち、散っていく。 消化しきれない脂もの、味の濃いもの、ヒト科ヒト族以外には毒にさえなるもの、 手違いで通ってしまったアレルゲン、方々の…