洞穴をすみかとする、憤りと慾望の塊である。 内なる正義を制御しきれないほどたくましく附いた腦味噌のシワ。 すべてを見下ろす頂のもの。すべてを見上げる海底のもの。 血に垂涎し、反吐を溜飲する。すべてを吐き出し、すべてを飲み込む、黄燐。

現代社会におけるバチアルゼは、人口に膾炙していると言っていい。 バチアルゼが、必ずしも毒とは言い難い。 バチアルゼは、古来より神聖なものとして祀られた。バチアルゼは、神に屠られるもの、捧げられるものとされた。 あるとき人は、バチアルゼの毒に気…

シーレクスの香は人びとに知らされず、はびこる。シーレクスは、あるものには耽溺の対象、あるものには駆逐の対象となる。 シーレクスが刺戟しているのは、人びとの腦味噌のニューロンとセロトニン受容体なのである。 シーレクスは人に直接関与しない。ただ…

わたしは、夢に入る途中駅で、ある背広服の男と約束どおり逢瀬した。男とわたしは、駅を飛び越え、夢さえ越えた。 そこに広がるのは、NHKで見た砂漠のやうな景色で或った。ただの水の周りに四足動物が集う姿。背広の男は、わたしにカイロをセールスしてきた…