騾黒愛(Lark roa)

larkroa@gmail.com

「アイパス」

 わたしは、夢に入る途中駅で、ある背広服の男と約束どおり逢瀬した。男とわたしは、駅を飛び越え、夢さえ越えた。

 そこに広がるのは、NHKで見た砂漠のやうな景色で或った。ただの水の周りに四足動物が集う姿。背広の男は、わたしにカイロをセールスしてきた。わたしは、(セールスに応えないといけない)という、奇天烈な強迫観念に依って、不用品回収日待ちのカイロを購入した。すると背広の男は「アハハハハ」と哄笑し、たちまち消え去った。

 さいごに一つ、「アイパス」と遺して

 醒めたわたしは、「アイパス」が気にかかって、手元の電話で調べる。

「アイパス」もしかして:アイス 

 わたしは聞きまちがゑたのか?