脱衣所に、金色の毛が落ちていた。ジトジトと雨がコンクリートを濡らしている。
問い詰めるほどの間柄じゃないけど、問い詰めないほどの精神力じゃない。
シャワーを浴びる。コンクリートみたいに、身体が水しぶきを弾いている気持ち。
切れかかった灯りが、私の卑しさを照らしているみたいだ。
明るく正しいものは、ときに残酷だ。
そもそも嫉む権利なんて有る筈ないのに、一人前にモヤモヤしている。
こうして未だ逢えている現状を、うれしく思うべきだ、と念じても、うまくいかない。
自分自身の感情ですら、制御できないんだから、殊に人の行動なんて管理もできる訳がない。
いつもと違うリンス。見たことの無い吸い殻。
こんなとこに居るはずがあるのに。
シャワーを止めて、息を進めて。
汗を落とすついでに心にコンシーラーを塗りたくった。
明日はせめて、曇りならいいなあ。