騾黒愛(Lark roa)

larkroa@gmail.com

脱衣所

 脱衣所に、金色の毛が落ちていた。ジトジトと雨がコンクリートを濡らしている。

問い詰めるほどの間柄じゃないけど、問い詰めないほどの精神力じゃない。

シャワーを浴びる。コンクリートみたいに、身体が水しぶきを弾いている気持ち。

切れかかった灯りが、私の卑しさを照らしているみたいだ。

明るく正しいものは、ときに残酷だ。

 

 そもそも嫉む権利なんて有る筈ないのに、一人前にモヤモヤしている。

こうして未だ逢えている現状を、うれしく思うべきだ、と念じても、うまくいかない。

自分自身の感情ですら、制御できないんだから、殊に人の行動なんて管理もできる訳がない。

 

 いつもと違うリンス。見たことの無い吸い殻。

こんなとこに居るはずがあるのに。

シャワーを止めて、息を進めて。

汗を落とすついでに心にコンシーラーを塗りたくった。

 

 明日はせめて、曇りならいいなあ。