騾黒愛(Lark roa)

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賭場

あーあ、あと何度挑戦すれば、、あと少しで完璧だったのに。

リーチ、リーチ、しては外れ、貧乏くじされど快楽の奴隷…

 

札を入れ、玉が出る。玉が穴に入ると可能性を生ず。外れども玉は出続ける。

出る。玉がでる。またまた出る。

穴の前の釘に阻まれ、殆どの玉は無価値と化す。運よく穴に這入れたとて、結果が出なくてはまた無価値。

札をはたいて育てども、ハズレはハズレ。当たりには変はらぬ。

確実な成功方法など存在しない。運否天賦そのもの。

恐慌、安堵を繰り返し、腦味噌から液体が出る。

 

胴元の目を盗み、休憩中の席に着く。其の人間が居ぬ間を狙うて。

嗚呼、なんたる快感だらう。何にも変へがたし。

所有主が出かけているばかりに、此のやうな事が出来て了う。

他の所有主が在りながら、札を入れるのも、玉を出すのも、穴を狙うのも赤の他人だ。

 

なぞと感慨に耽って居たら、正しい所有主と正しい胴元が戻って来て、賭場から追い出された。今後立ち入り禁止と相成った。

 

ああ、いつきちんと数字をそろえられるのであろうか。

博徒は新たな賭場を求めてさまよう。