夕子ちゃん
「夕子さんって、小説を書いているんですね。」
「龍」と名乗る柄シャツの男は言った。
「読みましたよ、精神、腦外科医批判、巨大敵を相手にして、人気がない。
夕子は「ははは、、」とマニュアル通りに気が違った癈人の相手をした。
一見、八九三のクランケかと思わるるた。
ハイビスカスのシャツに、東洋由来の網目の細かい着物を着て居る。
ただ。一軸に「小説」と云っても。一様ではない。
異なる世界で奮闘するもの、異なる正義と対峙するもの。列挙に暇が無い。
夕子は所謂。貧しい出で在った。
母と父は結婚して、約一年後に子供を設ける。
しかし、離婚をする。
風俗営業法、、、恐山の灯りで摘発されたので或る。
「オヤジ」が、『おっぱいパブ』 の常連で在った為、妻は三行半を突き付けた。
パート(非正規雇用)為に成る。
妻は、したたかで在った。
夕子は、総てを棄てた。
両親も、ずぶ濡れの自尊心も、放棄した。
ただ/\、芸能に取り憑かれて居た。
夕子は、スターダムを駆け上り…いまや泣く子も笑うヒーローに…
なることは未だかなわず、しかし夕子へ向けて、客の笑いに向けて、道化を演じる。
夕子は訊く。「おとうさん、何のお仕事なの?」と。
夕子の声より、父母の声、ニュース番組の声が大きくて、
夕子は真実を信じ乍ら寝室に帰った。