騾黒愛(Lark roa)

larkroa@gmail.com

コンプレックスは和製英語

#自己紹介

ということで、ここでは私の思う自分のコンプレックス(自分の中で納得がいかなくて心で格闘しているもの、ことの意味)を話してしまって楽になろうと思う。

生まれについて

私の出身は日本ではなく、ハンガリーという国だ。響きだけだとオシャレに聞こえるかもしれないが、実際はただの片田舎。生まれてからの数年間、母親の経営するアパレルブランドのために移住していただけだ。もうあまりハンガリーの記憶もない。小学校には日本に戻ってきたが、同級生からは、

『ガイコクジン』、『日本人じゃないの?』

と物珍しいものを見るようにしつこく聞かれた。つくづく日本は島国根性だな、団結力があってすばらしいな、と感じさせていただいた。さらには大尊敬しております担任の先生さまからには

『おい、ハンガリー語しゃべってみろよ(笑)』

とありがたいお言葉をいただいたものである。この言葉は私の胸に今も刺さっているステキで真っ黒なマチ針だ。

見た目について

私は自分の顔が嫌いだ。つくづく生きにくい。パッチリしすぎている二重まぶたは常に日本人ではないと強く主張しているし、高すぎる鼻は英語の教科書に載っている”英語のせんせい”みたいでよく馬鹿にされた。

『英語の教科書のこの人、お前じゃん!』『英語教えてよ~』

何度聞いたことか。そして英語は別に得意ではない。ずっと住んでいたわけではないし、あれほど日本語を必死に練習した、話を盛れば”バイリンガル”なのにこの国では通じない。だいたい日本語だってハンガリーにきてしまえば少数派の言葉だというのに。本当にアンラッキーな言語だ。お互い。

眼球の色は最近少しマシに思えてきた。日本人のあいだでカラーコンタクトレンズが流行したおかげで、『カラコンしてるよ』みたいな顔をしていればもう聞かれなくなった。

日本人は西洋の人形のような顔にあこがれるけれど、日本人の顔ってとてもキュートだと思う。生まれつき黒い目と黒い髪がセットでついてくるなんて羨ましい。なんど髪の色で注意されたことか。忘れたいくらいに多い。

そして身長。私の身長は日本人の平均身長とはかけ離れていて、よく制服やジャージのサイズが合わなくて、わざわざ追加料金を払っている母親をみるたびに悲しくて申し訳ない気持ちになった。クラスのみんなと同じくらいの身長になりたい。私は自分の長すぎる腕も、脚も、大きすぎる靴のサイズも、全然好きじゃない。

クラスのみんなが大きめのパーカーをダボっと着るのも、冬になると手を袖の中にわざとしまうあざといテクニックも、私にはできない羨ましいことだった。

そんなとき、兄の言葉が私を救ってくれてーー

なんてことはない、そんなものフィクションの世界にしか存在しない。

これから先も沢山の受難をくぐり抜けながらしつこく強かに生き延びてやろうと思う。